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食品製造・販売業における管理会計ベースのリアルタイムP/Lの構築と可視化
課題
分散した数値管理が、認識ズレと判断の遅さを招く
食品の製造・販売を行うなかで、販売数・原価・経費・割引・人件費といった重要な数値データが、複数のツールやチャネルに分散していました。たとえば、取引先注文書、レジアプリ、ECサイト、経費入力シート、労務管理ツール、在庫管理システムなど、それぞれが独立して存在し、横断的に数字を把握するには多くの手間と時間がかかっていたのです。
こうした状況では、現場の判断が常に“過去の数字”に頼らざるを得ず、リアルタイムな対応が困難でした。実際、売れ行きの変化に応じた仕入れ調整が遅れたことで、在庫ロスが発生したり、逆に在庫が足りずに販売機会を逃すといった問題も起きていました。また、社員ごとに目標意識や現状認識がズレてしまい、組織全体での一体感ある動きが難しくなっていたのです。
アプローチ
全員が日々同じ数字を見て、素早く判断できる組織に進化
まず取り組んだのは、点在していたデータの「一元化」です。各種ツールが提供するAPIを活用し、レジ・EC・労務・経費・在庫といった各所の情報をリアルタイムでGoogleスプレッドシートに集約。一部のツールにはAPIがなかったため、スクレイピングなどでの取得も行いました(※この方法はあくまで暫定対応であり、将来的にはツール自体の入れ替えも視野に入れています)。
集約したデータは、管理会計のフォーマットに沿った形で整理し、月次目標・売上・費用・主要商品の在庫といった重要指標が一目で分かるように可視化。さらに、このダッシュボードを毎日自動で更新し、社内チャットに投稿される仕組みを構築しました。これにより、社員全員が常に最新の数値を共有し、日々の業務のなかで数字に触れながら意思決定できるようになったのです。
結果として、仕入れや製造数に関する判断のスピードが大きく向上。数字に関心が薄かった社員の意識も徐々に変わり、今では「今日どうだった?」「今月の見込みは?」といった会話が自然と生まれるようになりました。全員が同じ数字を見ながら議論できる環境が整ったことで、より一体感のある、スピード感を持ったチーム運営が実現しています。